積んどく |おへやづくり

2012-05-18更新
  • 積んどく
  • 捨てまくった
  • 本を捨てるのが大変
  • もう増やさない
  • 対談

積んどく
インテリア雑誌を見ると、「収納」はくり返し特集が組まれていて、いかに多くの人が頭を悩ませているかがわかる。無意味にしまい込んでいる点については、私も人の事ばかり言えない。食堂や寝室の本棚にあるぶんは、まだ動きのある方で、問題は六畳の本。そこはもう、十数年間、男性はおろか女性の友人すら通したことがない。居住空間ではないために、雨戸すら閉めたきり。文字どおり「開かずの間」だ。畳の上には、色も高さもばらばらなスチール製本棚が三本。あるものは小学生の頃から使っており、あるものは下宿を引き払う人からもらい受けた。いずれも年季もので、外枠は平行四辺形にゆがみ、傾いた棚板が、下の段の本の上に危ういバランスでのつかって、かろうじて重みに耐えている。講談社の『内田百間全集』が背が高く、それがひとりで頑張ってつつかい棒の役割を果たしているのを見るたびに、(うちの本棚は、百間先生の両肩に支えられているようなものだな)と思った。文庫は、棚板の前後二列に並べ、上の隙間にさらに横にして入れてある。出し入れを前提としているとは言えない詰め込み方だ。本棚の前には、入りきらない本を重ねたものが、畳三畳くらいの場所を占めている。「積んどく」の最たるものである。
記憶から消えた本
棚の下の方の本を出すには、まず、手前の本をどかさなければならない。上の方の本は、見えていることは見えているが、身を乗り出すようにしなければ届かないし、目を近づけて背表紙をはしから順々に調べていくのは、かなり疲れる。腰痛持ちには、つらい体勢なのである。探しあてても、へたに抜くと、棚ごと落ちて、どっと雪崩を起こす。地震を何より恐れる私としては、(こんなところで、本に生き埋めになりたくないものだ)と思うのだ。棚の「回転率」がいかに悪いかは、想像がつくだろう。積んどく状態のいちばん下の部分など、年にいっぺんも日の目を見ないのではなかろうか。根雪と同じだ。ある本が家にあったかどうか、検索の手だては、記憶オンリー。文章を書いていて、(あー、ここであの本のあのフレーズを引用するとかっこがつくのだけどな)あったはずとは思っても、急ぎのときは、六畳を家探しするよりも、図書館で借りるか買うかした方が早いということになる。そうして思い出せるものはまだいい。記憶のリストから登録を抹消された本は、持っていても、ないのと同じだ。

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